2011年7月8日金曜日

(株)永楽屋 細辻 伊兵衛さん



s-110402 細辻さん.JPG400年の老舗で新しい京物を創る
現在は室町通三条上ルに本社があり、先月三条の新京極の角にもお店を出しました。手ぬぐいやハンカチ、風呂敷を中心に、着物なども取り扱っています。古くは織田信長の御用商人として絹着物をお納めし、永楽屋という商号と細辻という姓を頂戴し、1615年に現在NTTがある三条烏丸の東北角の地で、「三条永楽屋伊兵衛」として創業しました。当時は太物商と言って、一般の方々が着られる木綿や麻の着物を商っていました。戦後、時代の流れでタオルなどに拡げましたが、あまり業績は思わしくなく、私が入って事業を改革しようと思ったときに、明治初期から昭和初期に当社で制作していた手ぬぐいに注目し、これを復刻しようと思い立ちました。
私は以前、自動車のエンジニアだったこともあり、染色も「ものづくり」という意味で見れば同じだと考えます。日本人の技術力の高さに惚れ込んでおり、真にお客さんに喜んで貰えるものを提供したいと思っています。染めについては、深みのある色、多彩な色、細かい線、滲みのないシャープな切れなどを出すには高い技術力が必要で、当初、私は日本中のトップクラスの職人のお話を聴いて廻って、研究をしました。
さらに品質の面だけでなく、ものづくりにおいて、見て頂いて選んで頂くという点で、視覚的な側面も大事だと思っています。
伝統的な柄や、昭和や大正のモダンな絵、舞妓さんがスキーをしているようなユーモアのある絵などは、その時代だからこそできたデザインで、それも丁寧に復刻していますが、今の平成時代の皆様に喜んで貰えるデザインにも取り組んでいます。
京都を訪れるお客さんにとっては、京都は良くて当たり前ですから、京都の文化を染色に載せて、その期待を裏切らないような、本物の京物を創っていきたいと思っています。

(放送日:2011/04/02)